白衣に対するプライドの裏返し

この間は親族のお見舞いで久々に病院へ行って来た。
そして、久々に「白衣」の人たちを見た。

白衣を見ると「異常に白衣を嫌っていた医師」を思い出す。
いや、実際には嫌っていたのではないと思う。
むしろプライドと自負の裏返し、ねじれた感情ではないかと。
過去の記事にも書いた気がするけれど、未だに印象に残る。

白衣を嫌っていた医師は、某大学病院からの天下りで
私の勤務していた医療機関の長として就任した。
結果的に職場史上最低、最悪の長となった。
人事的にも経営的にも多大な損害をもたらした。
私の最初のブログ時代に主に登場したのは、この長だけど。。

その医師は「外来を持たない科」で、たまに応援に行く程度。
その後は病棟の回診もたまにするようになっていた。
ただ、外来に行く時も病棟の回診時も白衣を着なかった。
部屋のハンガーにかかった白衣は、単なる飾りのような状態。
私が気づいて白衣を持って追いかけることが多かった。
すると医師は嫌々ながら受け取り、クルクルとまるめる。
「こんなもの・・。」と言い、ムッとしながら。

外来や病棟から戻って来る時も、白衣は丸められていた。
そのうち「白衣なんかは要らない、着ない」と言い出した。
結局、職場に居る間はずっと普通のジャケット姿。
ワイシャツ、ネクタイ、ジャケット、ズボンで
かろうじて名札(写真入り)だけ胸に付けていた。

今思えば、白衣姿を見られることも嫌っていた。
いったい何のために医療の道に入ったのだろうか。
実際には、普通の医師以上に「白衣に思い入れ」があったのでは?
一般の医師にとっては「職場の制服」程度のものだけれど
あの長にとっては逆に「プライドの塊」だったのでは?
自意識過剰というか、ステータス意識の裏返し?
今さらながら、本当にバカな人だったなぁと思う。

白衣は実用的な面で着るべきだと思った。
感染予防や汚れ防止、患者への安心感にもつながる。
あの長は「こんなもの」と蔑んでいた白衣の実用性を
理解していたのかどうかは分からない。

ただ、その長が退職する数年前に「白衣を着る」ことになった。
それは、ある女性医師の一言により、着ざるを得なくなったから。
病棟の回診時にジャケット姿で病室に出入りする長に対し、
患者から苦情があったらしい。
担当の女性医師の耳に入り、長に直接伝えたらしい。

「複数の病室の患者さんから、不審な人が入室するとの
 苦情が入っています。
 白衣を着ないで聴診器を持ち、ニコニコしながら入ってくると。
 特にお年寄りの患者さんからは怖いとの苦情です。
 長であろうとも一般の医師と同様に、白衣を着用いただきたい。」

それを人づてに聞いた時は「やったー!」という感じだった。
年配のシャキッとした女性医師は人望が厚く、私もファンだった。

同僚ともこんな会話をした。
「確かにジャケット姿でニコニコした老人が入って来たら
 怖いよねー。」
「今どき、部外者が聴診器を持って病室に入って来るとか
 ありそうな時代だものねー」
「あの長もやっと白衣の重要性に気づいたんじゃない?」


長は普段からニコニコ顔なので、逆にそれが怖いにつながる。。

ただ、外来や病棟では白衣を着るようになった長だけれど
部屋へ戻る時には以前と同じように白衣を丸めていた。
普通に折りたたむのではなく、力任せにサッカーボール状に丸め、
次に着る時はシワだらけ。。

プライドの裏返しって、本当に滑稽だな、としみじみ思った。


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by hazuki-natsu | 2017-08-10 12:53 | 思い出したこと